過去は変えられる! 2011年11月22日
本当に久しぶりに、神戸オリエンタル劇場まで行って、劇団キャラメルボックスのお芝居を見てきた。タイトルは「流星ワゴン」だ。内容は、勤めていた会社にリストラされて、妻と離婚し、一人息子は中学受験に失敗して荒んでしまう、三十八歳の男性の物語だ。
故郷の余命僅かな、癌に冒された父親を見舞いに行った帰り、東京のベッドタウンの駅前で、「死んでもいいかなあ」などと云う言葉が、頭の中を過ぎった時、不思議な車にでくわした。その車には、五年前に事故で亡くなった、父親と小学2年生の男の子が乗っていた。
その三人の不思議な出逢いで、男は、自分の過去を必死で変えようと努力する。「過去は変えられる!」という夢と希望を抱き、何故か、彼と同じ年齢の父親と出逢い、意気投合して、楽しい夢(本当に夢なのか)のような時間を過ごす。
だが、相変わらず、妻との仲は、上手くいかず、息子も学校でいじめられて、心が傷ついていた。それでも、男性は、過去を変えようと、必死で努力する。だが、挫折する毎に、何故か、あの車に乗っているのだ・・・
私はこのお芝居を観て思ったことは、「過去は変えられる」と、以前、或る知人から教えてもらったこを、思い起こした。「過去は、今と云うこの瞬間、瞬間を精一杯、輝かせて生きていくことで、変わる事が出来るのだ!」
このお芝居の男も、結局最後は、父親が亡くなり、妻と息子とも別れることになるが、生きていこう!という気持ちが甦って来る。これは、まさしく、辛い過去の体験を乗り越えて、「今」を生きていくことを決意した証しなのだ。
つまり、未来とは、過去と現代との接点を自分自身で織り交ぜて、精一杯輝かすことで、夢と希望の在る明日へと繋がっていくのであろう。
お芝居が終わり、満員の劇場の観客の拍手がなりやまなかった。主演した安部丈二さんは、ずっと、二時間舞台にでずっぱりであった。本当に、凄いエネルギーとパワーを戴いた。また、他の出演者の方の演技も、みんな、素晴らしかった。
客席からは、すすり泣く声や音が聞こえて来た程だ、私も、今年の一月に亡くなった父のことを思い浮かべ、目頭が熱くなった。本当のお芝居とは、涙と笑いの渦の中で、キャストが、活き活きと踊るように演じられるものであると、実感したみかんであった。
お芝居が終わってから、私は、ロビーで、作品の原作の文庫本(重松清作 講談社文庫)を購入した。こんなことは、初めてだ。やはり、この作品の持つ感動が、私にそうさせたのだろうか?
最後に、主演された、安部丈二さんに握手をしてもらい、その柔らかで温かい手の温もりを、いつまでも忘れないでおこうと、少し寒くなった三宮の駅で、大阪行きの電車を待つ私は、心も身体もとても、不思議な温かさに包まれていた。過去は変えられるんや!今、ここにこうして、精一杯、命を輝かして、生きていこう!見ててねっ、お父ちゃん・・・
byみかん
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