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みかんはしる!               2011年4月7日

夕方、どっと疲れた足どりで、仕事から帰宅する。何時ものように、「ただいま!」と言ったが、なんか、返事が聞こえない。「ま、いいか!」と、何時もの、アバウトな調子で、一番奥の仏間に行き、父に帰宅の挨拶をした。そして、母の部屋に入ると、母が、おめめをつぶって、「なんか、左目にゴミみたいなんが、入っていとうてたまらんねん。目薬差したり、洗面器で、目をパチパチさせたけど、全然痛みがなくならへんねん。」と、曰く。

生憎、この辺の眼科は、木曜日の午後は、ほとんど休診である。勿論、何時も行っている眼科も然り。私は、慌てて、二階に駆け上がって、パソコンで検索しようと、我が家の立ち上がりの遅いパソコンだし、おまけに慌てているから、なかなか思うように調べられない。

私は、思わず部屋で、木曜日で休んでいた(娘彼女も病院に勤めているのだ)に、尋ねた。「この辺で、木曜の夜に開いている眼科ある?お祖母ちゃんが、目に、なんか入ったみたいで、我慢でけへんて、いうてんねんけど・・・」と、私は、こんな時だけ役に立つ、ばかでかい声で、聞いた。

すると、彼女が「それやったら、この眼科やったら、やってるわ。私、診察券持ってるで。」「貸してくれる?すぐ、電話するわ!」と私は、娘から、診察券を受け取るや否や、すぐ電話にとびついて、診察券に書かれている番号に、電話した。「すんません、うちの母が、目に異物が、入ったみたいで、痛くて我慢出来ないんで診ていただけませんか?」と、必死で訴えた。

話の向こうの受付の女性の方が、「先生は、診察が終わったら、所要があるので、7時までに受付をされたら、診察できますが・・・」私は、思わず腕時計を見た。時間は6時55分だった。「すみませんが、私が、今から自転車で走りますので、宜しくお願いします。」

電話を切って、すぐに母に「保険証ちょうだい!○○眼科まで、きてね。先に自転車で、行っとくさかい。すぐに、来てね。」そうなんです。母は、もう、お歳を召されているので、危ないさかいと、私が、自転車に乗るのを止めてもらったのです。しゃあない。眼科の在る処は、商店街の中やから、車で行くよりも、勿論、正義の味方(なんのここっちゃ?)のママチャリ号で、レッツゴー!いざ、出陣。(たいそうやなあ)

私は、夜道を必死で、自転車のペダルをこいだ。時間がない。でも、絶対に間に合ってみせる。「目は大切や。一晩も、ほっておけない。大切な母の目だ。痛くて、私が帰るまで、ずっと我慢してたんや。なんとしても診てもらおう!」そんなことを、頭の中で駆け巡らしながら、私は、一目散に、アーケードのない、商店街の中に入った。前を走っている自転車が、どんなにもどかしく感じたことか。やっと、くだんの眼科に到着した。

ここのお医者さんは、二階にあるので、階段っをひた走りあがって、ガラスの自動ドアをおもいっきし勢いよく開けて、受付の方に、母の保険証を差し出した。私は、息が、あがって、満足に話せなかったが、やっとのことで、「さきほど、電話した者です。母は、後で来ますので、お願いします~」と、やっとのことで、犬みたあいに、ハアハア、言いながら、用件を述べた。受付の方は「どれぐらい、時間がかかりますか?」と尋ねられた。

私は、母の健脚を信じて、「ご、五分ぐらいです・・・」と自分の歳でも、さばをよんだことがないのに、この時だけは、だいぶ、さばをよんだ。おそらく、なんぼ、健脚な母でも、五分では、ちと、無理だろうが、ここは、どうしても、お願いしないといけないので、私は、少なめに行った。看護師さんが、「先生に聞いてきますので・・・」と、おっしゃってくださった。

私は、下に降りて、母を待とうとしたが、看護師さんが、「保険証をお返ししますので、ここでお待ちください。」と言われて、待たせていただくことにした。それでも私は、待合室の窓から下の道往く人を見つめて、母の姿が、早く現れないかと、身を乗り出して見続けていた。すると、後ろから、「えらい、すんません!」と、母の声がするでは、あ~りませんか?

「ああ、良かった!まにおうて。」私は、もう、ほっとして、全身の力が抜けるような気持ちがした。母は、すぐに診察室に入り、私は、待合室で、母を待つことにした。その間、受付の方と看護師さん達に、「ほんとうに、ありがとうございます。」と、お礼を述べた。

少し長引いたが、母が、診察室から、すっきりとした顔で、出て来た。「どうやった?」私が尋ねると、「目にできもんができていたのが、自然に取れて、それが、目の玉に当たって、いたかったけど、今は、取ってもろたから、すっとしたわ。」

原因が解り、私も安心した。受付で目薬をっもらって、丁重にお礼を述べ、帰りは、母と一緒に、ママチャリを押しながら、歩いて帰った。普段は、シャイで、私にお世辞も言えない母が、「やっぱり、持つべきものは、我が娘やわ」と、言ったかどうかは、定かではないが、娘っとして、当たり前のことをしたまでだが、私は、自分を信じることが、走るエネルギーとなったのだと、今になって、気がついたように思う。

「人間て、無理やと思うたら、そこまでやな。無理かどうか解らんけど、とにかく走った私は、少なくとも、自分を信じることが出来た。駄目でも、後悔はしなかったであろう。可能性を信じて、走ることに意義があるんや。」

今日、7日の論語の言葉「義を見て為さざるは、勇無きなり」と云う言葉が、私の頭の中で浮かんだ。紙芝居で「ねこはしる」(工藤直子作 すずき出版)という作品があるが、まさに、今日は「みかんはしる」という気持ちで、今日と云う日を精一杯、生かせていただけたことに、心から、感謝の気持ちで、満たされた、みかんであった。

                     byみかん

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