未来の動物博士?との出逢い 11月23日
以前として、声は出ず、狐のような咳をしているので、マスクをかぶり、図書館へ行った。カウンターの前の机で、書き物をしていると、小学生の高学年位の男の子が、私の前で、「何か、紙と書く物ありませんか?」と、大きな声で尋ねていた。
私は、生憎、筆記用具を持ち合わせていなかったので、その机に備え付けてあるボールペンで、書いていたのだが、「ペンはないけど、紙やったらあるよ!」と言って、自分のもっているファイルに挟んであった、A4の紙を一枚差し出した。
その男の子は、「ありがとうございます!でも書く物がない。」と言うので、私は、その机に備え付けてある、もう一本のボールペンを取り出し、「これで書いたら?」とペンを渡した。彼は、「じゃあ、ここでしらべようっと!」と、柔軟な頭で、分厚い動物図鑑を引っ張り出して、開き何かを調べ始めたらしい。
私は、自分の書き物に集中していると、その男の子が、私に「あの、インドの西とかアラビアって、韓国の近くに在りますか?」と尋ねた。その図鑑を見ると、何か世界に頒布している動物の絵と説明がしてあり、どうも、学校の宿題で、韓国や朝鮮に住む動物を調べるようだった。
私は「インドの西とか、アラビアの国は、韓国よりもまだずーっと西の方に在るから、近くではないと思うよ。」と、応えると、彼は、また、必死で図鑑を調べ、遂に、韓国や中国に生息するネコ科の動物を見つけ、思わず歓声をあげた。
そして、わたしのあげた紙に、その動物の説明を一生懸命書き写していると、説明の中に、確か、「ユーラシア大陸エゾシカ」云々という言葉が出て来て、その言葉に引っかかり、目次を見て、一生懸命に捜していた。だが、残念ながら、ユーラシアウシとか、クマは載っているようだったが、シカはなかった。
すると、彼はどうしたかと言うと、今度は、動物別の目次で、シカの欄を探し出し始めたのだ。凄い!と私は、心の中で叫んだ。何時の間にか、彼の友達もやって来て、もう一冊の動物図鑑を、館長さんが、持って来てくださったのを、二人で見ながら、「よっしゃあ!この二冊で調べられる。二つ借りよう!」「せやけど、持ち出し禁止の本とちがうか?あっ、禁て書いてないわ。これで、いけるでえ!」二人は、嬉しそうに駆け寄って行く二人の少年を私は、机の前で佇みながら、見送った。
あの子達は、知る喜びと、調べることの楽しさを身につけている。本当の勉強て、ああいうことなんかなあ?図書館も利用し慣れているみたいやし、将来が楽しみや。
わたしは、口の見えないマスクの中で、にっこりと笑わずにはいられなかった。ほんのひとときの出来事だったが、私は、まだ、日本の将来も捨てたもんじゃないなあ。そう言えば、今年は、日本人のノーベル賞の受賞者が4人もいたはったんや。もう少し、希望を持とう。
未来の動物博士さん、今日の発見の喜びを大人になっても、ずっと忘れんといてね。せやけど、マスクした、ガラガラ声のうちのことなんかは、忘れていいのよ。あたりまえか!?
byみかん
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